『ザ・ハリケーン』

録り溜めした映画を視聴(汗)
見る前までは約2時間半、延々とボクサーの半生を追った眠気を醸してくれちゃうノンフィクション退屈映画だと勝手に思っていたけど……入り込んだなあ、この作品。
冤罪で約20年も投獄された黒人ボクサー、ルービン・ハリケーン・カーターの実話をもとに作られた映画。
少年時代に町の有力者に対して傷害事件を起こしたことが発端となり、一人のねちっこい刑事に目をつけられ、最後にはとある3人を殺害したとして3人分の罪・終身刑(×3)による冤罪と人種差別から投獄されてしまうという悲運なボクサー。
カーターが投獄され、長い年月が流れ、何人もの人が彼を助けようと頑張ったが途中で脱落するなどで、徐々に世間から忘れ去られてきた時に、何かの縁からか少数ながらもトロントの活動家グループが再び彼を助け始める。
ボクシングだけでなくカーターの獄中の生活や活動家グループたちの動きなど視点が切り替わったりしてたので飽きがこなかった。
ただ、カーターの獄中生活は、あれ、ホントなのか?それなりに快適そうな生活を送っているように見えたんだが。
獄中生活では欲を抑えることで心を平静に保ってきたけど、活動家グループとの接触によって抑えていた外界への欲求が出てきてしまうことへ葛藤する姿や気持ちを吐露するカーターは良かった。
難点を言えば活動家グループがカーターの無罪を勝ち取るために色々と動き出したあたりから失速してきたなと。連邦最高裁判所での検察とのやり取りはもっと白熱したシーンを期待していただけにアッサリ終わってしまったから残念。
それと活動家グループがひょいひょい、と証拠集めをして裁判もすぐに決着をつけてしまう展開で正直、置いてかれてる感じはあったかも。
ただ、判事が判決を下すシーンには久しぶりにドキドキしたなあ。予備知識なしだったので、あれはいい緊張感だった。
結局、カーターが犯人として逮捕されてしまったため、とある3人を殺害した犯人探しはされていなかったようで。
それにしてもこんなに後味の悪い結末を迎えていたとは……。
この責任は私怨によって行動をしていたバカ刑事と人種差別が拭いきれていない時代背景にあるんだろうな。
日本では裁判員制度が始まったけど、この映画のように陪審員全員が白人で四面楚歌のような状況になることは低いだろうけど、ゼロとは言えないんだよなあ。想像したらゾッとした。