『ミスト』

原作未読。夏だしホラー映画でも観るか。ということで『ミスト』を鑑賞。
ネタバレ全開だけど……なにこのBADエンド。
ラストは原作と違うようで、原作者のスティーブン・キングも絶賛したらしい。
田舎町で突如発生した霧。それに潜む何か(●●)が人間を襲うというパニックホラー。人々を襲う何か(●●)をもっと引っ張るかと思ったので、一部とはいえ物語早々に姿を現したのには肩透かし。
否応無くスーパーに籠もるしかない主人公たち。血を流した爺さんがスーパーに駆け寄ってきたのは何事かと思え、突然の事態に軽くパニクる様はリアルだな。
その後、霧の中から現れた巨大な触手に襲われ、怪物はこれだけと思ったら巨大な翅付きやプテラノドンもどき、蜘蛛のようなものまで種類が豊富で驚いた(笑)微妙にチープなCGに見えたけど昆虫系は気持ち悪いなorzそして灯りをその怪物たちに近づける主人公たちの行動に、「そんなことしたら獲物(人間)がここに居ると怪物たちに知らせるようなもんだろ!」と思ってしまったオレは見事にのめりこんで鑑賞してしまってるんだな(笑)
怪物の出現の原因は軍事技術によって異世界の怪物たちを呼び込んでしまったらしいようで…いきなりファンタジーかよ!て思わないでもなかったが、この作品は怪物云々より複数の人間が外部と遮断された閉鎖空間でどういった行動に出るか、てところが見所のような気がする。
店内の人々に徐々に生じる疑心暗鬼から人間関係がギスギスし始め、怪物の出現で絶望的になった人々。宗教狂信バアさんに反発を持っていた大多数の人間が手のひらを返したように、主人公たち一部の人間を除きバアさん支持派へ。極限状態に置かれ藁にも縋る思いになった時、人間は支えてくれるものなら何にでも縋り、何も行動しようとしなくなる、そういった恐ろしさにゾッとした。
さらに怖いのは一連の怪奇が軍にあると分かると、バアさん派はたまたま居合わせてしまった軍の下っ端をリンチし、生贄と称して下っ端君を店から締め出す展開。まあ、その夜は本当に怪物が襲ってこなかったというのはどういうことなんだと……。それにしても、このバアさんはホント観ていて嫌になる人物だったなあ。
スーパーから脱出した主人公一派だけど、絶望的な状況に追い詰められて自殺を選ぶ。同乗者の人数分には一発弾が足りないため、同乗者は死に主人公は「ぼくを怪物に殺させないで」と願った息子に手を掛けて、いよいよ自身は怪物に喰われて死のうと車外に出たら軍によって怪物が殲滅され始め、霧が晴れてきていたと……。ガソリンが無くなり動かない車に閉じ込められたことで、どうすることも出来なくなるのは仕方ないとしても、ああも簡単に自殺という選択肢に繋がってしまうのは唐突すぎるかなあ。
初めにスーパーから出た女性とその子供たちが軍に救われていたのは驚愕。そして、もう少し早く軍と会えれば息子と同乗者は死なずに済んだのに、やるせない主人公は頭真っ白だろうな。
細かい設定は置いとくとして、こういう救いの無い終わりも嫌いじゃないし、極限状態に置かれた人間の行動など観て損は無い内容で、期待していなかっただけに楽しめた作品だった。